2010/12/23

シャープ測距モジュールGP2Y0A21YK

赤外線で距離を測る GP2Y0A21YKというモジュールがあります。
電源を供給するだけで 、距離に応じたアナログ電圧が勝手に出てくるので、それをA/Dして計算したら距離が測れます。だいたいの場合「ある距離まで近づいたかどうか」が分かれば良いので、実際には計算しなくても良い場合が多いでしょう。
電源電圧は5Vで消費電流は平均30mAということなので、HT7750Aとかで簡単に駆動できそうです。でも実際にやってみると、実はそうでもなかったのでした。

まず、消費電流はこんな風になっていて、ピークでは200mA以上だそうです。(DSO nano V2で波形を見てみたら、実際その通りでした。) この電流が取れないと、モジュールはちゃんと動作してくれません。HT7750Aではそんなに取れないのですが、平均の30mAを供給することはできるので、電源ラインに適切なコンデンサを入れてやれば大丈夫なはず。結局、モジュールに47uFを直付けしたらなんとかなりました。データシートには10uFを入れろと書いてありますが、電源の容量がプアな場合、10uFでは足りないようです。

平均30mAとはいえ、電池の寿命を考えると、必要なときだけ電源を供給するような使い方をしたいところ。データシートによると、電源を供給して60mS後ぐらいから正しい測定電圧が得られるそうなので、マイコンでうまくスイッチングしてやれば良さそうです。ただし、それなりの電流を流せるMOSFETとかを使わないと、電圧が下がってしまって、やっぱりモジュールはちゃんと動作しません。

結局、こんな回路になりました。PICのGP5でモジュールの電源を制御し、GP4で測定電圧を受け取ります。

 ちなみに、このモジュールから得られる測定電圧は、基本的に距離が近いほど高く、遠いほど低くなります。測定できる最大の距離は80cmで、それ以上になると、80cmの時よりもさらに低い電圧が出てきます。
モジュールに必要な電源電圧が供給されない場合にどうなるかというと、測定できる範囲が狭くなるだけでなく、その範囲を超えた場合に、より高い電圧が出るようになります。この電圧は電源の状態によってだいたい決まっているようで、実際の距離とは関係がありません。低い電圧が出てくれるとありがたいのですが、そううまくはいかないようです。

関連記事:
シャープ測距モジュールGP2Y0A21YK(その2)

2010/12/04

AC100Vを安全に使うためのhack

AC100VでLEDの記事へのアクセスが多いようです。こういう回路ではヒューズなどで保護するのが鉄則なので、例の回路でもポリスイッチを入れてありますが、これは回路の保護という意味で不完全なものです。
まず、ヒューズにしてもポリスイッチにしても反応速度がとても遅いので、突入電流から半導体素子を保護するのにはまったく役に立ちません。それでも入れてあるのは、LEDを保護するためではなく、回路の短絡などによる事故を防ぐためです。
それに当然、保護できるのはヒューズより先の回路だけです。なので基板のレイアウトとか配線の引き回しとかでも、できるだけ入り口に近いところにヒューズを入れるなどの注意が必要です。

突入電流からの保護には、直列に抵抗を入れるのが有効です。この抵抗が役に立つのは電源を入れた直後の一瞬だけで、あとは無駄に電力を消費するだけのお荷物になってしまうのですが、これはやむを得ません。

これに関して、こんなアイデアを思いついた人がいます。
How to stop your inventions from blowing up…
回路と直列に電球を入れるというアイデアです。
電球は、非線形な特性を持つ抵抗です。温度が低いときは抵抗値が低く、電流が増えるにしたがって温度が上がって抵抗値が上がり、ある程度のところで電圧降下が供給電圧とバランスして、それ以上の電流が流れなくなります。(この状態が、普通に電球が点灯している状態です。)
この特性はポリスイッチと同じ傾向ですが、それほど極端ではないので、(1)最初からある程度の抵抗があるので突入電流が制限されていて、(2)最大電流を制限するだけで遮断はしない、ということになります。これは実験の際には好都合なことが多いでしょう。

最大電流は、電球のスペックから単純に計算できます。 たとえば60Wの電球なら600mA程度ということになるでしょう。最初の抵抗値は、常温の状態で電球の端子間の抵抗値を計れば分かります。

注意しなければならないのは、この回路をはずしてAC100Vに直結するようになると、その時点で電球による突入電流保護の機能がなくなるという点です。電流も電圧も、おそらく増加します。つまり、これはあくまでも初期のテストや実験を安全に行うためのhackと考えるべきですが、それにしてもなかなか良いアイデアです。