「フライホイール」は、エンジンとかについてる、慣性を利用して回転力を保持する円盤のこと。上の回路で言うと、コイルの部分がこのフライホイールにあたります。一方の「フリーホイール」は、自転車のギアとかのラチェット機構のこと。ペダルを漕いだら噛み合って、漕ぐのをやめたら空転する、アレです。1方向にだけ力を伝える、という時点ですでにダイオードっぽいですが、例の回路でのダイオードのはたらきも、まさにこれと同じ。だから、このダイオードに名前をつけるとすれば、「フリーホイールダイオード」というのが理にかなっている、というわけです。た...たしかに。
では、「フライホイールダイオード」が日本だけの誤用、というのは本当でしょうか。これはGoogle先生に聞いてみましょう。
なんと、英語でも「フライホイールダイオード」の方が多いじゃないですか。念のために、日本語ページと比べてみましょう。
これまた意外で、圧倒的に「フライホイールダイオード」の方が多いというわけでもないのです。比率では英語も日本語も大差なく、いずれも2:1ぐらいでフライホイール派が優勢。もちろんGoogleの検索結果はひとつの目安にすぎませんが、少なくとも、日本だけの誤用とは言えないことがわかります。英語でも flywheel diode という言い方もするし、むしろ多数派なわけですから。
たしかに「フリーホイールダイオード」が正しいのですが、コイルをフライホイールとして働かせるためのダイオード、という解釈で「フライホイールダイオード」と呼んでも、あながち間違いとも言いきれないような気もします。世の中には最適じゃない名前が定着してしまっている例も非常に多いことを考えると、これについては、どっちも正解でいいんじゃないでしょうか。。
(2010/04/27)
flywheel diode と freewheel diode については上のとおりですが、英語では他にもいろんな呼び方があります。
"flyback diode"/"fly back diode" 50800件
"flywheel diode"/"fly wheel diode" 42600件"catch diode" 36800件
"snubber diode" 28100件
"freewheel diode"/"free wheel diode" 23400件